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2017 6.15

 スタンダードナンバーと聞いて連想するのはどんな曲でしょうか?Aで始まる曲だけでもAll The Things You Are, All Of Me, Alone Togetherなど色々ありますよね。長い間世界中で演奏され、愛されてきた素晴らしい曲ばかりです。

●成り立ち  スタンダード曲はジャズでの演奏を前提に作られたわけではなく、歌詞がついていることでも分かるように、歌われることを目的として作られました。成り立ちは大きく3つのケースに別れます。 1 ミュージカル(多くはブロードウェイの舞台)あるいはミュージカル映画の挿入歌 2 単独曲 3 映画の挿入歌

 ミュージカルこそスタンダードの培地です。ラジオ放送が普及する前は、最先端の魅力的な音楽を聴く場はブロードウェイに代表されるミュージカルの舞台が中心でした。アメリカにおける最初のミュージカルはShow Boat(1927年)と言われ、音楽はアメリカ人の最初の作曲家と言われるジェローム・カーン(Jerome Kern)が担当しました。ミシシッピ川を走るショー上演客船(文字通りShow Boat)の上で繰り広げられるドラマを描いており、O'l Man Riverなどの名曲も入っています。

 ちなみに、1927年はちょうど90年前の昭和2年、歌謡曲さえまだなく、汽車ポッポや赤トンボといった童謡が流行っていた年ですからアメリカとの差は相当なものでしたね。

●ミュージカルとティン・パン・アレイ  こうしたミュージカルでは10曲以上の魅力的な歌が必要なので、当時最も才能のある作曲家が担当しました。中でもジェローム・カーンは、それまでアメリカでヨーロッパ出身の作曲家しかいなかったところに登場した、初のアメリカ生まれの作曲家として非常に注目されていました。カーンはドイツ系アメリカ生まれのユダヤ人で、この頃の有能な作曲家は、アーヴィング・バーリン(ロシア生まれでアメリカに移住)も、ジョージ・ガーシュイン(アメリカ生まれ)もそうですが、多くはユダヤ系です。

 カーンは多くのミュージカル向けに非常に多くの曲を残しています。スタンダードの中でも名曲中の名曲であるAll The Things You AreはVery Warm For Mayというミュージカルの挿入歌です。この名曲については別のところでも取り上げることになるでしょう。Smoke Gets In Your Eyes(煙が目にしみる)もジャズでよく演奏される曲の一つですし、ポップスの世界でもカバーされました。

 ガーシュインは単独曲の作曲からキャリアを始めました。1900年頃から ニューヨークには楽譜店が集まった一角があり、1日中音楽が賑やかに流れていました。その音がブリキ鍋を叩いているように聴こえたことから、ティン・パン・アレイと呼ばれていました。ティンというのは錫のことで、当時は錫メッキ鋼板(ブリキ)の鍋がよく使われていたのでこう呼ばれました。ガーシュインはここで客に楽譜を売るためにピアノを弾く仕事をしていましたが、作曲も始めました。ジャズで演奏されることはないですが、彼の最初のヒット曲Swaneeはここで生まれました。

 ガーシュインもミュージカルや「ポーギーとベス」などのオペラ用に多くの曲を作曲しています。ポーギーとベスの中で歌われたSummmertimeはあまりにも有名ですね。

◎今回の音源 スタンダードの中でもジャズで最も多く演奏されていると思われる、All The Things You Are。読者の皆さんはたくさん聴かれたと思いますが、私が最も好きな演奏の一つがこれです。 https://www.youtube.com/watch?v=aWa6aChSf1w

◎Lydianからのおすすめ ジャズと日本酒って珍しい組み合わせとよく言われますが、Lydianでは日本酒にこだわりを持ってお出ししています。氷温と呼ばれる凍る直前くらいまでキンキンに冷やした日本酒をワイングラスで傾けながら熱いライブを聴くのも一興ですよ。メニューは以下です。新しく加わった伯楽星はとても美味しいですよ。 http://jazzlydian.com/info.html#food

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