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メルマガ2 映画音楽とスタンダード

2017 7.1

 前回「スタンダード」についてお届けしましたが、今回は2回目です。お楽しみいただければ幸いです。

 前回ご紹介した、舞台ミュージカルや単独曲として生まれたスタンダードは、アメリカでは「アメリカン・ポピュラー・ソング」とも呼ばれます。1920年代から1950年代頃までは、これらの歌がアメリカにおけるいわば歌謡曲であり、流行歌であったわけです。ただ、曲として素晴らしくアドリブを取るための素材としても向いている曲については、ジャズマンが繰り返し演奏してきたため、単なる流行歌に終わらずスタンダードとして定着してきたわけです。

●映画用に書かれたスタンダード  ハリウッドが発展してからは映画向けにも多くの曲が書かれるようになり、スタンダードとして定着した曲も増えてきました。舞台ミュージカルを映画化した作品では、舞台で歌われた曲をそのまま映画で歌うケースが多いのですが、最初から映画のために書かれた曲も増えてきたわけです。有名なThe Days Of Wine And Roses(酒とバラの日々/ヘンリー・マンシーニ作曲)は同名映画の主題歌ですね

 ここで、ほとんど映画用に佳曲を提供し続けたブロニスラウ・ケイパー(Bronislaw Kaper)という作曲科をご紹介しておきましょう。作曲科の名前は知らなくても、On Green Dolphin Street(Ned Washington作詞)や、Invitation(Paul Francis Webster作詞)という曲名をご存知の方も多いと思います。ケイパーは特徴的なコード進行と、上方に跳躍する旋律をうまく使ったポーランド系ユダヤ人の作曲家で、この2曲を聴くと東欧的+ユダヤ的とも言うべき独特の香りが漂ってきます。

 アドリブ素材としても興味深いことからジャズマンの注目するところとなり、楽器奏者を中心に非常に多くの演奏が残されています。特にGreen Dolphin~は今でもセッションの定番ですよね。アメリカではシンガーも結構歌っていてyoutubeでもたくさん聴くことができますが、何故か日本ではほとんど歌う人がいないので、歌詞があると聞いて驚くプロミュージシャンもいます。ケイパーの曲については改めて紹介したいと思います。

●場面とのギャップ  現在、私地達はスタンダードを曲として聴くと、曲名やメロディーからあるイメージを持ちますが、それがミュージカルや映画の中で使われたシーンとギャップがあることも少なくありません。上記の酒とバラの日々は、華麗なイメージの曲名と甘美なメロディーからは全く想像できない、深刻なアルコール中毒に陥った夫婦の姿を赤裸々に描いた映画で使われていて、最初に見た時は驚きました。

 They Say It's Wonderfulというバラードがあります。低音が大変魅力的なジョニー・ハートマンというジャズシンガーがジョン・コルトレーンと一緒に録音した事で有名になった美しい曲です(Irving Berlin 作詞/作曲)。この曲が歌われたのは「アニーよ銃を取れ」というミュージカル(後に映画化)の中です。拳銃の腕はスゴイけど田舎娘丸出しで恋愛経験もないアニーが、拳銃ショーの花形であるイケメンと列車のデッキでいい雰囲気になりかけるシーンなんですが、それまでのアニーのじゃじゃ馬ぶりとのギャップが激しく、興味深い物があります。

 

 次回もスタンダードの続きとなる予定です。

◎今回の音源

・ジョー・ヘンダーソン(ts)によるInvitaion https://www.youtube.com/watch?v=oqB-sz2SBsg

・ジャック・ジョーンズによる歌唱 https://www.youtube.com/watch?v=Oo7USbY_sfI

◎今回の画像 ・映画「アニーよ銃を取れ」の中で「They Say It's Wonderful」が歌われるシーン。

◎Lydianからのお知らせ 7/17(海の日)に初めてのジャムセッションを行います。歌、楽器ともに自由参加です。セッションホストは経験豊富で歌伴が抜群にうまい外谷東さん(p)と山口裕之さん(b)。奮ってご参加下さい。

13:00開店 13:30~17:00 参加料:2,000(税別)+オーダー

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